Fediverseは”パソコン通信”の再来か?

コンピュータ

最近、Fediverse(MastodonやMisskeyなど)を使っていて感じるのは、その空気感がとても穏やかで居心地がいいということです。もちろん、中にはちょっと変わった人や関わりたくないタイプの人もいますが、いわゆる「クソリプ」や「炎上」といった現象はほとんど見かけません。

これは、なんだか昔の”パソコン通信”を思い出させます。

Fediverse(フェディバース、「federation(連合)」と「universe(世界)」のかばん語)は、SNSミニブログブログ等を含むWebサイトの公開やファイルホスティングを行う、独立性を保ったまま相互接続されたサーバー群のことを指す。異なるサーバー(インスタンス)それぞれにおいてユーザーがアカウントを作成し、異なるサーバーに属するアカウント同士が各サーバー上のソフトウェアが実装するオープン標準通信プロトコルを通して通信できることが特徴である[1]。テキストなどを投稿したり他のアカウントによる投稿を購読することができる[2]。出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

小さな文化圏の集合体

かつてのパソコン通信には、NIFTY-ServeやPC-VANといった大手商用BBSがあり、同時に無数の草の根BBSが全国に点在していました。それぞれのBBSには独自の雰囲気や常連がいて、ひとつの”文化圏”を形成していました。

現在のFediverseもまさに同じ構造をしています。大手インスタンス(fedibird.com や mstdn.jp など)がある一方で、個人運営の小規模なインスタンスも多く存在し、それぞれが独自の空気感を持っています。

最低限のリテラシーがフィルターになる

パソ通の時代、ネットに接続するにはモデムの設定や通信ソフトの知識が必要で、誰もが気軽に書き込めるような環境はありませんでした。その分、参加者はある程度のリテラシーを持ち、相手に対する最低限の敬意やマナーを守る文化がありました。

Fediverseもそれに近い性質を持っています。登録時に自分でインスタンスを選ぶ必要があり、UIもX(旧Twitter)ほど洗練されていません。多少なりとも「仕組みを理解しよう」という姿勢が求められます。このようなハードルが結果的にフィルターとなり、一定の穏やかさが保たれているのです。

クソリプや炎上が起きにくい仕組み

Fediverseでは、見知らぬ人からの突然のリプライや、投稿が意図せず大勢に拡散されることがほとんどありません。引用投稿は可能ですが、X(旧Twitter)のようにアルゴリズムが働いて広範囲に表示されることがないためです。

その結果、炎上の火種が広がりにくく、やりとりも自然と穏やかになります。

さらに、アルゴリズムによる「バズり」やトレンド文化がないため、大量拡散が起こりにくくなっています。これは、引用投稿が可能であっても、X(旧Twitter)のようにアルゴリズムが引用された投稿を積極的に他人のタイムラインに表示することがないためです。

つまり、Fediverseでは誰かの投稿が“勝手に拡散されて晒される”ということが起こりにくく、引用してもその影響範囲は投稿者のフォロワー中心にとどまる傾向があります。これにより、意図しない拡散や炎上の火種が自然と抑えられているのです。

管理者が身近な存在

Fediverseの多くのインスタンスでは、管理者がとても身近な存在です。トラブルが起きれば直接報告できますし、ローカルなルールも管理者の判断で柔軟に対応できます。これもまた、草の根BBS時代の「シスオペ」を思い出させます。

小規模ゆえに、ユーザー同士の距離も近く、自然と秩序が保たれやすくなっています。

リテラシーのあるユーザー層

もうひとつ大きな特徴は、ユーザー層の質です。Fediverseの多くの利用者は、Twitterなどの大手SNSでの疲弊を経験した人、もしくは技術系や創作系の趣味を持つ人が多いです。いわば「好きでこの場所を選んだ人たち」です。

だからこそ、他人と無意味に争ったり、荒らしたりするより、自分の好きなことをのびのびと発信する文化が育ちやすいのです。

ネットにおける“免許制度”の喪失

かつては、ネットに接続するには一定の知識が必要でした。これは言ってみれば、暗黙の「免許制度」だったとも言えます。

しかし、今はスマホを買えば誰でも即SNSに書き込める時代です。乱暴に言えば、「免許もない人が誰でも車を運転できる」ような状況です。マナーやモラルを知らない人でも、猛スピードでネット空間を走り回れます。これが炎上やヘイトの温床になっているのです。

Fediverseは、そのような状況に対して一石を投じる存在とも言えるかもしれません。

懐かしくも、新しい未来へ

Fediverseは、単なるレトロな再現ではありません。分散型という新しい仕組みと、昔ながらの人間味あるネット文化が融合した“懐かしくも新しい”空間です。

誰もが「ここに参加している」という意識を持ち、互いに空気を読み合いながら心地よく過ごしていけます。

そんなインターネットの原風景のような場所が、今また静かに広がっているのかもしれません。

もしあなたも、SNSの喧騒に少し疲れているのなら、Fediverseという穏やかな世界をのぞいてみてはいかがでしょうか?

私が使っているインスタンス紹介

用途や気分に応じて、いくつかのインスタンスを使い分けています。以下はその一部です:

🔵 misskey.io
Misskeyの本家であり、最も規模の大きいインスタンス。世界中から利用者が集まり、活発な交流が行われています。リアクション文化が特に盛んで、技術者や創作系ユーザーも多くいます。

🟣 misskey.noellabo.jp
特定のテーマやコミュニティに属さない、汎用のバニラMisskeyサーバです。シンプルな構成で、特別な設定はなく、無改造の純粋な最新版Misskeyが使えるのが特徴です。のえるさんによる個人運営で安定性も高く、落ち着いた環境を求める方におすすめです。

🟢 fedibird.com
Mastodonベースの大規模インスタンス。日本語圏で特に利用者が多く、交流も盛んです。特徴的なのは、ローカルタイムラインが存在しない代わりに、ハッシュタグ「#fedibird」を使って緩やかな交流が行われている点です。

🟡 nonsskey.com(のんすきー)
そして現在の私のメイン拠点がこちら。自分で立ち上げた「お一人様インスタンス」で、気兼ねなく投稿できる、まさに“自分専用の隠れ家”のような空間です。公開はされていますが、しょうもないつぶやきや下書き的なメモも自由に書いています。

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